2022/03/21 22:59
【北海道産地羊】
北海道名寄市にある、1928年創業の食肉専門店、東洋肉店を運営するラム肉と豪州ワインのスペシャリストでもある東澤壮晃氏。「ラムバサダー」の一員でもある彼から、北海道産羊肉農場を営む松山農場の最高級羊肉をカレー仲間にご紹介頂きました。
名水百選にも選ばれる水、汚染のないクリーンな土壌と澄み切った空気の中で牧草を食べて育った羊は臭みがなく、北海道仁宇布ならではの風味豊かな味わいとなっております。
【シバの定番・ラムスパイスカレー】
ラムスパイスカレーは、1985年シバ創業時、先代の柴崎廣が考案しました。
当時、現在ほど豪州産ラム肉が国内に定着しておりませんでしたが、宗教食のタブーから外れている点や日本以外、世界中で食べられている点、羊肉の持つ美味しさから、試行錯誤の上、子羊肉の「ラムスパイスカレー」を完成させました。
ラムスパイスカレーの持ち味は、深い味わいと力強さ。香り高く、食後の余韻の香りを残しつつ食べ疲れしない激辛なこと。他のどこにもない唯一無二の不動の味わいを現在も守り続けています。
熱々のご飯にかけるとラムスパイスカレーがご飯にスッと染み込みます。辛いのでサラダや温野菜料理、ヨーグルトとよく合います。
【シバの記憶のビンダルー】
1987年のある日、先代はラムスパイスカレーを仕込む時、別のラム肉と鍋を用意し、その鍋に加熱した赤ワインを加えカレーを試作。食べさせてもらうと赤ワインとラムカレーのスパイシーな香りがとても合ってすごく美味しかったのを覚えています。
「なんでカレーにワインなんて入れたの?」と聞くと「インドは西欧の植民地だった歴史がある。南部ではキリスト教の人口も多い。こういう欧米とインドの接点の味があってもおかしくないはずだ」と答えが返ってきました。
あれから時を経て僕が初めて南インドに行った2013年。
ゴア地方でポークビンダルーを食べたお店は1935年から続く海沿いのレストラン。スタッフさんやオーナーさんがたくさん説明してくださり、「羊、牛、鳥、魚、それぞれビンダルーにすると美味い!このルーツは此処ゴアがポルトガル領だったからカレーにワインとビネガーを入れるスタイルが定着したよ」と教えて頂きました。
昔、先代がカレーにワインを入れて考察していたあの言葉と一気につながりました。
今回、この最高品質の仁宇布の地羊で作るカレーなら、思い入れの深いラムビンダルーにしたいと考えました。
30数年前の仕込みの記憶と過去のインド旅でも印象深いゴアでのカレーを思い出しながら、仁宇布の地羊の旨味を味わうためのワインとスパイスの香りの調和、フルーティーな余韻も感じる上質な辛さになっています。ライスによく馴染む点、食べ疲れしない点は当時と同じです。